27 Jul
27Jul

たまにAL2Fに関してお問合せもあるので、少し設計思想について記載しておきます。

AL-2Fは全て特別な強化樹脂製で制作していますが、それにもちゃんとした設計意図があります。

AL-2Fは音のナチュラルさや温かみを重視した設計にしており、樹脂素材による適度なダンピングとナチュラルな響きを設計に活かしています。

とにかくアルミ製のバックチャンバーや筐体の方が全てにおいて良いと思っている方も多いと思いますが、結局は設計次第で樹脂の素材や樹脂による形状の工夫のし易さの方が狙った特性や音質になり易い場合も多くあります。

一般的にはアルミ製等の方が見た目も良く高そうに見えますし、見た目のイメージから音が良さそうにも見えますよね?音質というのは見た目にも引っ張られるところがありますので、確かに見た目のイメージも大事です。

ちなみに、AL-2Fで採用している素材は内部損失が高いため、筐体自体が音を吸収し、箱鳴りや共振を抑制しやすく、精密な音響設計に基づき定在波の抑制を行なっており、小型でも適切な強度を確保しています。

ですので、基本的にバックチャンバー内への吸音材追加等による調整は必要ありません。

AL-2Fは、音楽的な自然さや聴き心地の良さを重視していますので、適度に響かせることで音に広がりや柔らかさを加えています。つまり、設計意図としては音楽的で心地よい中高域の再現を目指したスピーカーです。

もちろん実際に金属製筐体等検討やシミュレーション、試作等行いましたが、このサイズでこのユニットだと硬すぎてピーキーな音になってしまいましたし、高域の伸びもユニット自体の性能が高いため、性能の低いユニットを採用している場合によくある様なユニットの性能不足を箱の金属的な響きで補う様な方法は逆効果ですし、小型ゆえに音響エネルギーが小さく、過剰な剛性が逆効果になり、金属的に鳴ってしまうというのがAL-2Fに関しては樹脂製にした大きな理由です。

しっかり設計された金属製の場合には完全に色づけのない音が作り易いですが、やはりそこまですると設計や試作等完成までに多くのコストがかかりますし、小型になればなるほどバックチャンバー内部の定在波や剛性が高すぎることによるデメリットとのバランスが難しく、現在製作しているAL-2Fのハイエンドモデルに関して時間を要しているのはそれが理由でもあります。昨今は3Dプリンター等もあるので、それでも開発スピードやシミュレーション精度は上がっています。あまりこの様な裏側までを見せる(見せてくれる)ブランドも無いと思いますが、ALブランドに関してはハイエンドモデル含め過去のブログでもご紹介した通りしっかり実際に試作等行なって開発や検証をしてから製品化しています。


2インチフルレンジハイエンドモデルの開発状況について - Audio Laboratoria


ちなみに、価格を安く出来ているのはALブランドとして開発した技術は全て日本以外の国にはオープンにして良いという契約で専属エンジニアや工場と取り交わしているので、1から開発しても金型や開発費といった部分も非常に安く抑えられているからです。これはエンジニアや工場にも他国にALで開発した最新の技術を広く提供出来るという大きなメリットがあります。

AL-2FはALブランドの中ではエントリークラスの位置づけで樹脂製だけど音が良いのか?というのが気になるところかと思いますが、設計とチューニング次第で樹脂製の方が金属製より音が良い場合もあるというのが答えで、AL-2Fがその好例となります。